No.28. 避難所でのちょっといい話
東日本大震災以来,日本中が暗いニュースで満ち溢れている。
こんな時ほど,明るい話題が必要となる。
さて私は,阪神淡路大震災の時に大学からの派遣で,
避難所を廻った経験を持つ。
▲阪神淡路大震災の時避難所を廻った経験を持つ。
たいして役には立てなかったが,そこで垣間見たことを
紹介しておく義務もあるように思う。
そこで避難所であった"ちょっといい話"を紹介する。
第1話
ある避難所へ着いた時,すでに暗くなり始めていた。
木枯らしの吹きすさぶ校庭で,たった一人
ギタ一を片手に歌っている若者がいた。
よく聞くと,昔よく歌った曲だった。
こんなボランティアの方法があったことに驚かされた。
その理由。
さて貴方の"懐かしい歌"や"青春の歌"は,どんな曲があるだろうか?
私はフォークソング世代なので
"戦争を知らない子供たち"や"翼をください"などを思い出す。
ある日突然,自宅や家族,自分がこれまで築き上げてきたものが
一瞬にして奪われたら,どんな気持になるだろう。
"どうしてこんな目に逢わなければならないのだ・・・。
"悪いことはしていないのに・・・。これは悪い夢に違いない・・。"
きっと,そんな思いが頭を駆け巡るだろう。
でもそれを受容し,新たな気持ちに切り換える。
その勇気づけ・励ましになるのが,自分が好きだった歌,
みんなと一緒に歌った青春の歌のように思う。
昔を思い出して,"もう一度 頑張ろう!"と思い前向きに生きて欲しい。
きっとあのボランティアは,そんな思いで歌っていたのだと思う。
▲あのボランティアは,そんな思いで歌っていたのだ。
第2話
避難所では,ダンボールの囲いがそれぞれの家庭の境界だった。
真冬なので暗くなるのも早い。
運動場はあまりに寒くテレビもないので,
子ども達が遊ぶ場所もなかった。
ある日,診療をしていると校内放送が入った。
子どもの声だった。
▲診療中に校内放送が入った。
子どもの声だった。
「これから○年生△組の教室で紙芝居を始めます。
みなさん来てください!」
何をするだろうと思い教室に行った。
すると,思いもかけない光景に出会った。
なんと! 小学生が,幼稚園児達を集めて紙芝居をしていたのだ。
思わず胸が熱くなった。
子ども達は,大人に言われ紙芝居をしていたのではない。
自分達ができる仕事を,自分達で考え探しだして,
紙芝居をしていたのである。
▲大人に言われしていたのではない。
自分達ができる仕事を探しだして,
紙芝居をしていたのだ。
素晴らしいことではないか。
最近の子ども達。
"わがままで自分勝手",
"我慢が出来ない"など良いようには言われない。
でも本当は,そんなことはないのだ・・。
日本の将来も,まんざら捨てたものではないな・・と思った。
モンゴル健康科学大学 客員教授 岡崎 好秀 先生
(前 岡山大学病院 小児歯科 講師)
子供も楽しめる保健指導情報を 「Dr. 岡崎の口の中探検」にて好評連載中。
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