
No.27. "噛む健康法"フレッチャーイズム
「一口30回噛む」という言葉がある。
さてこの言葉。
誰が言い出したのだろうか?
常々、そんな疑問を持っていた。
最近、やっと突き止めることが出来た。
それはイギリスで4期に渡り首相を務めた
ウイリアム・グラッドストン氏(1809-1898)である。
ある日、一人の新聞記者が首相官邸で質問をした。
「85歳にもかかわらず、どうしてお元気なのですか?」
その答え。
「天は、私たちに32本の歯を与えたから、
いつも32回噛むようにしている。
これを子ども達にも言い聞かせ、守らせるようにしている。」
ルーツは一口30回ではなく、32回から始まったのだ。
▲「一口30回噛む」のルーツはグラッドストン元首相にあった
さてこの話を聞いたのがアメリカの大富豪ホーレス・フレッチャー氏。
そう!かの有名な噛む健康法"フレッチャーイズム"の実践者である。
フレッチャーは、40歳で171cm 体重は100kg近くあった。
体調がすぐれないので、生命保険の契約を断られた。
そこでイギリスに渡り、名医を受診したり有名な栄養学者にも学んだが、
納得する結果を得ることはできなかった。
その時、グラッドストンの話を偶然耳にした。
▲フレッチャーイズムどのようにして60歳で若くなりえたのか?
そこで、"本当に空腹感の湧いた時だけ食べる事"
"新鮮なものをシンプルに調理して食べる事"
"ゆっくり味わいながらよく噛んで食べる事"
などを実践したのである。
▲60歳の誕生日。
若いスポーツ選手と一緒のフレッチャー氏。
中央で肩に青年を乗せている。
おかげで彼は体調が良くなることを、身をもって感じた。
これをきっかけとして世界中で"噛む健康法"を説いて廻った。
彼の粘り強い実践は、イギリスやアメリカの名門大学の生理学者、栄養学者、
さらには運動学者の心を動かし、世界的な評価を得るに至った。
▲"フレッチャーさんの『噛む健康法』"
この本が日本語訳されたのが1940年。
現在、"フレッチャーさんの『噛む健康法』"
というタイトルで出版されている。
生活習慣病の予防のために
"フレッチャーイズム"に学ぶことはたくさんありそうだ。

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