No.17. むし歯菌のウンチ???
"歯垢(しこう)"という言葉は、ご存知のことだろう。
英語では"プラーク"という。これが、むし歯や歯周病の原因だ。
ところがこの言葉、専門用語であるため、なかなか覚えにくいし、理解しづらい。
とくに、子どもに伝えることは、至難のワザである。
そこで筆者は、歯垢のことを"むし歯菌のウンチ"と表現している。
「〇〇ちゃんは、ゴハンを食べたらウンチをするでしょう」
「〇〇ちゃんが食べた甘いものを、今度は、口の中のむし歯菌(ミュータンス菌)が、食べてウンチをする」
「だから、これは"むし歯菌のウンチ"なのだ」と教えている。
さらに、むし歯菌は"オシッコ"もする。これが"酸"で歯を溶かしむし歯の穴があく。
このようにいえば、小学校の低学年でも容易に理解することができる。
<むし歯菌が砂糖を食べると ウンチ(歯垢)とおしっこ (酸)をする。
このように 表現すれば、子供でもむし歯の原因を理解できる。 >
ついでにもう一つ。
"歯垢"と"食べカス"が混同されがちだ。
まず、台所にある残飯を捨てる三角コーナーを思い浮かべてみる。
三角コーナーを洗うとき、水道水をかけると残飯だけ流れる。しかし、表面には、ヌルヌルしたものが残っている。
これを取るためには、タワシやスポンジでこする必要がある。
つまり食べカスは、ブクブクうがいで取れる。しかし、歯垢を取るには歯ブラシが必要となる。
子どもたちに"わかりやすく"伝えることも歯科医の仕事の一つなのだ。
さて、下の奥歯の内側を舌で舐(な)めていただきたい。
ヌルヌル・ザラザラしていたら、そこには歯垢がついている。
歯垢は、"とり餅"のようにベタベタしている。
この性質が、曲者(くせもの)なのだ。
ベタベタしているので、むし歯菌同士もくっつき合う。
だから、歯垢1グラム中には10の11~12乗個もの細菌が存在するという。
歯垢の中は、まさにむし歯菌の大都会と言える。
そうすると"酸"は、さしづめ生活廃水にあたる。
さらに歯垢は、歯にもベタベタとくっついている。
歯垢と歯の表面の間では、多量の酸により歯が溶かされ続ける。
これを取り除くのが、歯ブラシだ。
ところで、歯科医院では、赤い液で歯垢を染め出す。これはとっても便利な方法だ。
赤く染まった部分を磨けば口の中は、完全にきれいになる。
しかし家庭では出来ない。
そこで、簡単に出来る方法を紹介しよう。
まず透明なコップを用意し、半分ほど水を入れる。
そしてこの水で、歯ブラシを洗いながら歯を磨く。
そうすると、水は濁ってくる。水が濁ると、新しい水に入れ換える。
これを繰り返すと、水が濁らなくなるはずだ。
この状態で口の中は、きれいになったと考えられる。
ぜひ、家庭でもお試しあれ。
モンゴル健康科学大学 客員教授 岡崎 好秀 先生
(前 岡山大学病院 小児歯科 講師)
子供も楽しめる保健指導情報を 「Dr. 岡崎の口の中探検」にて好評連載中。
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