虫歯に関するトピックス
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No.16. 左ヒラメに右カレイ

「左ヒラメに右カレイ」とは、ヒラメとカレイの見分け方であることは有名だ。
両者ともカレイ目に属し、腹を手前にして左に顔があるのがヒラメ、右にあるのがカレイである。
ところがカレイの仲間でも、左に顔があるものもいるから話しはややこしい。
ヌマガレイがそうだ。
さらに面白いことにこのカレイ、アメリカ西海岸では左に顔のあるものが50%、ところがアラスカ沖では70%、それが日本では100%となるのである。
"左ヒラメ"に"右カレイ"は、万国共通ではないのだ。

 

<「左ヒラメに右カレイ」は、世界的には通用しない(左がヒラメ、右がカレイ)>

 

それではヒラメとカレイを見分けるには、どうすればよいか?
実は、両者の顔を見ればわかるのだ。
ヒラメは、口が裂け怖い顔をしている。
一方、カレイはおちょぼ口でやさしい顔である。

<ヒラメは、肉食のためどう猛な顔をし、口も裂けている>

<カレイは、虫を食べるためにおちょぼ口である>

 

もう一つの大きな違い。それは歯である。
ヒラメの歯は大きく尖っている。
しかしカレイの歯は小さい。
これらの差は、両者のエサの違いに起因している。
ヒラメは、イワシやアジを食べる。
そのためには大きくて強い歯が必要だ。
また、肉食だからどう猛な顔になる。
それに対してカレイは、イワムシやゴカイを食べている。
だから歯も小さくてすむ。
それぞれの食べ物の差が、歯の違いであり、顔の違いとなって現れる。
ちなみに、ヒラメのことを瀬戸内沿岸では"おおくち"と呼び、東北地方の日本海沿岸ではカレイを"くちぼそ"と呼ぶ。

<食性の違いにより、ヒラメ(左)の歯は大きく尖り、カレイ(右)の歯は小さい。ヒラメとカレイは、歯からも見分けることができるのだ。>



さてヒラメは、白身の高級魚として鯛と並び称され、刺身やお寿司のネタとなっている。
しかし、江戸時代にはカレイのほうが美味で高級魚とされていた。
それではなぜ、現在はヒラメのほうが高級魚なのだろう?
その秘密も顔の向きにある。
日本料理の基本。それは料理を出すとき、頭を左に向ける。
これが高級魚とされている理由の一つだ。
そこでカレイを出すときには、「のし」を付けたり、裏返しにして目の位置に赤いナンテンの実を添えて無礼をわびる。


サカナにまつわる歯の話は、まだまだ多い。
釣りの時"引きの強いサカナほど口元が美味しい"といわれる。
たとえばイシダイ。サザエの殻でも音を立てて噛み砕く。
これは歯が丈夫なだけではなく、咬む筋肉も発達しているためである。
よく使う筋肉は、引き締まっているから美味しい。
また、夏の京料理の代表"ハモ"。これもずばり"歯"からきている。"歯む(はむ)"が語源なのだ。
ハモも歯が鋭く、頭を切り落としても、咬みついてくるからだ。
逆に、歯が弱いことから名づけられたサカナもある。
サバは"小(サ)さい歯"から来ている。
それにイワシは弱い魚(鰯)と書く。イワシは、口が弱いから当たりがあったらゆっくりリールを巻かないと、顎が外れてしまう。
こんな話し、寿司屋でしてみてはいかがだろう。

モンゴル健康科学大学 客員教授 岡崎 好秀 先生
(前 岡山大学病院 小児歯科 講師)

子供も楽しめる保健指導情報を 「Dr. 岡崎の口の中探検」にて好評連載中。

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